2012年1月17日火曜日

「リリ族の採集行為について」 挨拶文

「リリ族の採集行為について」

無事、終了致しました。
みなさま、本当にありがとうございました。

展示会当日に配布したあいさつ文の中に、編集者の影山さんのお言葉があります。
すてきな文章なので、ここに残します。

また、六次元さんのご厚意で、作品・リリ族体験コーナーの一部を
1/22(日)22:00まで展示させて頂いています。
六次元さんに行かれるご予定のある方は、ぜひ、ご覧くださいませ。



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ご挨拶

本日は「リリ族の採集行為について」にご来場いただき誠にありがとうございます。

1983年生まれの伊藤さちと1985年生まれの宮園夕加は、1年ほど前からzine制作やワークショップなどのコラボレーションを行なってきました。

ハギレ・糸くず・古着など、一度役目を終えたものを材料としながら制作をしている伊藤にとって、バッグを作る際にロックミシンから出た糸端も大事な素材となります。
宮園は、あくまで服の付属品であり続ける「ボタン」をテーマに制作を続けています。ボタン・デザイナーとして服飾資材商社に勤める宮園は、大量に破棄されるサンプルを拾っては自宅に持ち帰ります。

二人に共通するのは、不要になった装飾のかけらを収集し、本来与えられている役割に別の役割を与えることに関心があるという点です。本展ではそうした、通常であれば捨てられてしまうような小さな存在に着目し、それらを拾い、手芸する日々を送る生態を「リリ族」と名付けています。

「大量生産・大量消費の時代が終わりをつげ、貨幣価値に還元されないモノやコトが、海辺に打ち上げられる漂着物のように、私たちにとって親密な生活圏や、都市のスキマに澱としてたまっています。リサイクル・ショップやフリーマーケット、端切れの計り売りやSNS上での物々交換という場で繰り返される現代の採集民族の生態には、一昔前のエコ・ブームには還元されない、主体的なライフスタイルを提案しようという真摯さ/実直さを感じることができます。
 不要になった人工のモノが溢れかえる都市に生きる私たちが、ちょっとだけ意識を変えることができれば、この世界は荒寥とした焼け野原ではなく、豊穣な採掘場であるはずです。広告や雑誌によって用意された大雑把なブームに感応するのではなく、自らの感性の襞に寄り添いながら、目の前にある世界との関係を切りひらいていく、こうした<匿名の編集行為>が広がっていくことを願っています」(影山裕樹/編集者)

最後になりましたが、開催にあたりご協力いただいたみなさま、ロゴやDMのデザインをしてくださったshubidua三浦佑介さん、タイトルの英訳をしてくださった釜我静さん、そして、いつもたくさん背中を押して下さっている6次元の中村さんと道前さんに、心より御礼申し上げます。


2012年1月15日 伊藤さち 宮園夕加



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