2011年9月3日土曜日

メッセージ


誰もが知っている通り、世の中は「もの」で溢れ返っています。

もちろん、ボタンも例外ではなく、安いボタン、高いボタン、こだわったボタン、大量生産のボタン…たくさんあります。

別に、私が作らなくても既に優れたデザインや歴史のあるボタンは山ほど存在していて、それでも作りたい、生み出したいと思いボタンを作っています。

わたしにとってその感覚は出産みたいなもので、(まだ子供を産んだことないけど…。)デザイン出し~素材決め~デザイン画~寸法出しまで、その間、大切に育てたいと思うのと同時に、「会社だから」「仕事だから」といった声に囚われて、業務的に作業をこなし、愛情不足のボタンを生んでいる、そんな気がします。

会社に入って3年半。
私なりにいろんな方法を試しました。
たどり着いたのは、「スピード」を優先した仕事方法でした。
会社では、愛情とか、メッセージとか、そういったものは必要ないと考えられている、そう感じます。
私が勝手に「感じている」だけで、実際は違う考えを持った社員さん・取引先さんもいらっしゃるのも事実ですが、あくまでも少数派です。

そもそもボタンは、ファッション業界ではわりと肩身の狭い立場で、服づくりの中でボタンが決まるのは最後の方。加えて、私がこだわってデザインしたボタンも、お客さん(ブランド)の都合で形を変えて世の中に出ていきます。もちろん、そのまま使って頂けた例もありますが。

結局、私の名前でなく、会社の名前でしかボタンを作れないのです。
会社に属している以上、当たり前なのでしょうが、時々無性にさびしくなります。
だっていつだってすごい冷静なんです。
会社以外でボタンやほかの作品を作るとき、その作品コンセプトを考えて、たくさんのことをフラッシュバックして、感情移入して、だいたい1回は大泣きしてました。
そういう心の動きがなくなって、会社にも染まって、そういったことさえ疑問にもてなくなったら…

今、「親しい人の死」の次に怖いことです。






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